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Infinity - Luxury Gold - のサウンドチューニング

執筆者の写真: Furuya HirotoshiFuruya Hirotoshi


開発責任者の古屋です。

初回ロットの出荷日も決定いたしまして、このヘッドホンにおけるサウンドチューニングについて概要をお伝えしてみたいと思います。責任者の僕自身が音楽プロデューサー・マスタリングエンジニアという事で、今回評論家の先生方からも多くのご質問を頂戴しました。恐らくは国内メーカーとしては、マスタリングエンジニアがヘッドホンのチーフデザイナーを務めたという事例はこれまでになかったはずです。

エンジニア自らがデザインからサウンドチューニングを行ったという事を背景にしますと、やはりこれまでのオーディオ屋さんたちとは、その手法は全て異なっていたかと思います。デザインにおいては、着手する折から凡その形は頭にありましたし、今回のヘッドホンにおいては何と言っても「芸術」という領域へ機材がアクセスするところまで行き着くことを最重要視視しました。それは外観だけではなく、サウンドの面からしても、自分がいつも世界中の音源を仕上げることを念頭に置き、その芸術性というものを如何にヘッドホンに凝縮できるのかをコンセプトとしました。


基本的に近年の世界で求められるマスタリングサウンドというものは、高音域がかなり「キン」と澄ました徹底されたクリアなサウンドと、強烈な低音をどのジャンルであれ求められる傾向にあります。その中に様々な表情の中音域をちりばめて行くような印象ですので、基本はやはり徹底されたクリアサウンドが根底に存在します。

ある意味これは世界のトレンドでも、「ハイゲイン」と表現されることが多く、様々なオーディオメーカーでも採用される傾向に在ります。

このいわゆるハイゲインによって生み出されるサウンドというのは、細かなディテイルを聴くことができるのですが、兎に角疲れる印象を持ちます。要は長時間聴いていられません。

この前提を覆したく、今回のInfinityの開発では、


「ハイゲインではなく、美しいナチュラルなサウンドを作りながらも、全体のディテイルを徹底して映し出し、詳細に渡って楽曲をラグジュアリーに理解でき、更には奥行きとステレオ幅を演出する」


以上のことをサウンドチューニングのコンセプトとしました。これは盟友であり、ドイツのトップメーカーであるSPL社も同等の価値観を共有しており、同社のヘッドホンアンプは全く嫌味がありません。国際エンドーサーとして、開発を共有してきたからこそ、彼らには共感するところが多々ありましたし、普遍性こそがSPLの魅力というものを創り上げているのかと思います。流石伝統と歴史のヨーロッパといった感があります。


ショッキングな形での印象付けというものは面白いのですが、長期間にわたって愛すべき存在となり得るのか否かは別問題です。自分が世界の音楽市場で戦ってきた、大きさと広さから感じ取ったエネルギーというものは、とてつもない巨大なパワーとして自らの中に構築されています。そしてその巨大なパワーは、最終的に何を導きだしたかというと、


「気が遠くなるほどの長い期間、対象物に対して永続的な繁栄をもたらすこと」


に回帰すると定義するようになりました。

これまでの経験で導き出された解が、直ぐに飽きてしまうようなものではなく、長い間このヘッドホンを介して音楽を聴くという行為が、皆様にとって至極の時間として用いて頂けるのであれば、何よりもの喜びですし、更には音楽制作者たちには、


「楽音がどのように構成され、何をもって正解とするのか?」


といった永遠の課題の一つを、解決する最有力の機材となってくれると確信しております。


ナチュラルな中に、楽曲内の多くのディテイルを映し出す。こんなコンセプトを頭のどこかに置きながら、お聴き頂けますと大きな喜びです。


キンと澄ましたサウンドについては、この後にリリースされますEarEffectのプリセット内で、存分にお聴かせできるよう準備中です。それはそれで、また楽しんで頂けると思いますし、一つのヘッドホンで幾つもの可能性を感じて頂けるかと思います。

 
 
 

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